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幼児期にスポーツクラブへ通わせるメリットはあまりない

最近は、小さな頃からスポーツをさせることが体にとって良い、と認識されている方も多いのではないでしょうか。

そのため、幼児期(例えば3歳頃)からスポーツクラブに通わせ、水泳やサッカー、テニスなどをさせる保護者の方もおられるでしょう。

スポーツクラブでは、「小さい頃から取り組むことで、体作りの基礎が育ちます!」とか「運動を習わせるには、早ければ早いほどいいです!」などと保護者の気持ちを煽るような広告文句が並びます。

 

ところが、幼児期に特定のスポーツをさせることは、メリットはほとんどありません。

ほとんどというのは、例えば「体を動かす習慣が付いた」とか「挨拶ができるようになった」など一定の効果はあると言えるからです。

しかし、体を動かす習慣や挨拶は、なにもスポーツでなくても引き出すことはできます。

それよりも、幼児期に特定のスポーツを習わせるデメリットのほうが大きいのです。

スポーツクラブに通わせるデメリットとは?

それは、体を痛める、筋肉や関節の成長を阻害する、大きくなった時に痛みや問題が出て来る、というようなリスクがあるのです。

例えば水泳は、本格的に行うことで、肩や腰を痛めます。テニスなら肘を痛めます。サッカーなら膝の関節を痛めます。

これらのスポーツをするためには、筋肉がしっかりと発達していることが前提になります。まだ筋肉の発達が不十分な幼児では、負荷がダイレクトに関節に伝わってしまうのです。

 

そのため幼児期には、万遍なく体を使うという経験を積み重ねながら、筋肉や関節を成長させていく必要があります。

特定のスポーツをさせると特定の部分(筋肉や関節)に負担がかかり、大きくなってからその部分に問題(痛みや不調)がでてきます。

強制的にスポーツをさせれば、運動嫌いになるというデメリットも

さらに、子供が希望していないのに、「体のためだから」という理由でスポーツを習わせると、子供はその運動が嫌いになってしまいます。

小学生くらいになると、スポーツクラブに行ったフリして実際には行かず、親には「行ってきた」と嘘をつくこともできますが、幼児では(そもそも親がついていきますから)、そこまで反抗することもできません。

そうなると余計に運動が嫌いになるだけです。

楽しいと思えることをさせる、体をまんべんなく使わせるのが一番効果的

原っぱを駆け回るだけでもいいですし、公園の遊具で遊ぶことでもOKです。

とにかく子供が楽しいと感じることをさせてあげるのが大前提です。

楽しい!という感情は、体の使い方やコントロールをより上達させるために必要なものです。

 

そして、体の一部分を使うのではなく、色々な部分を平均的に使うということが大事です。

走る、登る、下りる、蹴る、投げる、ジャンプするなど色々な活動をすることです。

特定のスポーツやスポーツクラブでの運動は、体の基礎が養われ、筋肉や関節がしっかりと形成されてからでも遅くはありません。

保育所での遊びは体作りに最適!

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楽しいという感情を伴う運動とはなんでしょうか。

それは、例えば保育所での遊びです。

園庭を走り回る、築山を上り下りする、ジャングルジムで遊ぶ、ケンケンパッで友達と競い合う。

友達同士と触れ合いながら、楽しい遊びをしっかり行なっていれば、幼児の体は十分に発達していきます。

また、「自分で考えながら遊ぶ」という能動的な遊びをすることで、創造力が育つという効果もあります。

 

保育研究の第一人者で白梅学園大学学長・東京大学名誉教授の汐見稔幸氏は、「運動指導から運動遊び指導へ(発達148号・ミネルヴァ書房)」の中で、論文「幼児への運動指導が身体能力の発達に与える影響―幼稚園・保育園における3年間のアクション・リサーチ―(松嵜洋子・2014)」を紹介し、次のように述べています。

いくつもの運動遊びを組み合わせて取り組むことで、幼児たちの運動諸能力が確実に伸びただけではなく、身体の動かし方のなめらかさや他の身体運動への興味も伸びたことが確かめられたということです。

一斉指導的な運動指導は今は逆効果になっている、子どもたちの自発的な選択による身体運動の方が運動機能の伸びの効果が大きい等が明らかになっていました。

つまり、(スポーツクラブでもそうですが)先生主導のもと、全員で同じ運動を行うのではなく、「色々な種類の遊びを、子ども自身が自分で選びながら体を動かす遊びをすることが、何よりも運動機能を伸ばすことにつながる」といえるのです。

私が「幼児の運動機能や体の発達にとって最も適しているのは、保育所での自由運動遊びである」と考えているのは、このような理由からです。

保育所に通っていないお子さんなら?

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保護者の方がお休みの日に、公園に連れて行って、好きなだけ走り回らせてあげてください。

また遊具遊びを親子で楽しんでください。ボール投げやボールけりでもOK。

親子の絆も深まり、一石二鳥です。

とにかくお子さんに快の刺激を入れてあげてください。運動の技術を高めることは重要ではありません。

 

運動遊びこそ、幼児期の子供に必要な「体作りのための運動方法」なのです。

 

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西村 猛(管理人)

西村 猛(管理人)

”触らない”理学療法士(子供の発達、特に座る、立つ、歩くなどの運動発達が専門)。コラムLatte専門家コラムニスト。 姿勢の悪い子供を減らしたい!という思いから、一般の方に向け、子供の姿勢発達や体作りについての情報提供をおこなっている。「分かりやすい解説」が好評で、マスメディアをはじめとする様々な媒体からの取材も積極的に受けている。 ■研究分野:子供の姿勢、幼児の体作り、発達障害児の身体的発達と課題