2016_10_23

理学療法ジャーナルという雑誌

理学療法ジャーナルは、医学書院が出版している理学療法士向けの専門誌です。

普段こういった学術書は、職場で購入しているものを読むことが多いのですが、小児理学療法という分野と「生活支援」という言葉に惹かれて自分でも購入してみました(すでに一度読んでいるのですが)。

この雑誌はアマゾンでも取り扱っているようで、発注から3日ほどで届きました。

生活支援に『つなぐ』小児理学療法?

小児理学療法も「療育」と呼ばれる領域の一部分を担っているのですが、最近の療育の特徴は、「連携」です。

療育機関が独立して存在するのではなく、地域の各関係機関と連携していく中で、子供の発達支援をしていくべきという考え方です。

そういったことの重要性からも、今回「生活支援につなぐ小児理学療法」というテーマが出てきたものと思います。

しかしここで疑問が。

 

そもそも生活支援につなぐ小児理学療法とは、どういう状況を指すのでしょう?

つなぐというからには、バトンを渡すというイメージですが、ハッキリ断言します。

 

そんな考えは間違いです。

大きな勘違いです。

 

こういう考えをしているから、療育はいつまでも変わっていけないのです。

理学療法は生活支援の一部を担うもの

小児理学療法は、生活支援に「つなぐ」役割があるのではなく、「生活支援の一部を担う」ものです。

 

それがなぜ、「つなぐ」と表現されるのか。

それは、療育機関や小児理学療法が「特別な場所」であり、「特殊なこと」だと認識されているからです。

 

しかし、本来の理学療法の役割は、対象者の生活の向上です。小児理学療法でいえば、子供(と家族)の生活への支援と生活の質の向上のためにあるべきものです。

 

そう考えると、「療育機関という特別な場所」で、「小児理学療法という特殊なこと」を受けることは、全く意味を持ちません。

特殊な場所で、特殊なことをいくら取り組んでも、現実の生活の場面に役立つことなどありません。

行うべきことは、生活の中に理学療法のエッセンスを取り入れていくための方法を考えることです。

それは保育であったり、家庭生活であったり、学校生活であったり、休日の過ごし方であったりです。

 

それでも保護者の方は、なぜ療育機関に子供を通わせることを選択するのでしょうか。

その理由は簡単です。

療育機関の関係者が「生活に根ざした療育を行わないかぎり、子供(と家族)のためにはならない」と言わないので、保護者の方は「気が付かない」のです。

 

気が付かないから、保護者の方は療育機関に通うことに目的を持ち、もっと療育を受ける頻度を上げて欲しいと希望します。

それを受けて療育機関は、保護者のニーズに対応するために、どうにかしてでも療育のコマ数を増やすことばかりに注力します。

 

こうやって、本当に行わなければならないことについて、誰も気づかないままになってしまいます。

ここに療育の問題が隠されています。

生活支援の一部を担う理学療法とは?

理学療法士は(もちろん作業療法士や言語聴覚士も)、評価のプロです。

ただしここで言う評価とは、体の評価だけを指すのではありません。子供の生活を見ることで、その子供にとって必要なことは何なのか、理学療法分野としてどう関わるべきなのか、ということについて検討し、実際の生活場面の中での実践につなげていくための評価です。

その観点で見れば、「評価を行うに当たっては、まず子供の生活の場面を見ておくこと」が何よりも優先されるべきです。

その後、体の評価を通して、「どのようなことを目標にすれば、今よりも生活の向上を目指すことができるのか」を考え、保護者や関係者に説明し、実践のためのアドバイスを行うべきなのです。

 

つまり、療育機関(施設)の中で、いくら子供の評価をしたところで、実践的なものは何一つ見えてこないということです。

施設という建物から外に出て、子供の生活の場を見なければ、何も解決しないということでもあります。

最終目標は、「療育施設がなくなること」

このような特殊な環境にある療育施設がなくなることが、療育の最終目標です。

支援が必要な子供に対して、色々な専門家が子供の生活を評価し、日常生活を快適に過ごすための課題や目的を設定し、地域社会の中で生きて行くための助言や支援を行う。

これが、理想の療育システムです。そうすれば、「集まってくる」療育は必要なくなり、地域に根ざした療育が行えるようになります。

 

そして、理学療法士はその専門分野において、各専門家とともに、子供の生活が今よりも良くなるべく、専門的見地から生活支援に参加する。

これが目指すべき小児理学療法のあり方です。

 

これらの理由から、頭書の「生活支援につなぐ小児理学療法」は「生活支援の一部を担う小児理学療法」に書き改めるべきだと思います。

 

今後「新しい療育のあり方」については、当サイトでも考えていきたいと思います。

新しい療育のあり方について賛同いただける、理学療法士をはじめとするセラピストの方、ぜひ一緒に考えていきましょう。

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西村 猛(管理人)

西村 猛(管理人)

”触らない”理学療法士(子供の発達、特に座る、立つ、歩くなどの運動発達が専門)。一般社団法人子どもの姿勢とこころの発達研究所代表理事。コラムLatte専門家コラムニスト。 姿勢の悪い子供を減らしたい!という思いから、一般の方に向け、子供の姿勢発達や体作りについての情報提供をおこなっている。「分かりやすい解説」が好評で、マスメディアをはじめとする様々な媒体からの取材も積極的に受けている。 ■研究分野:子供の姿勢、幼児の体作り、発達障害児の身体的発達と課題

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