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「姿勢の改善方法=筋トレ」ではない

2015_09_05

「子供の姿勢を良くしたい」と考えた時に思い浮かぶのが、「スポーツジムに通わせる」とか「何か特定のスポーツをさせる」などではないでしょうか。

確かにジムに行ったりスポーツで身体を鍛えることは、体力作りだけでなく姿勢の面でも一定の効果はあるでしょう。

ではそれで悪い姿勢がすべて解決するかというと、そういうものではありません。
なぜなら、「ジムに通ったりスポーツをしていなくても姿勢のいい子はたくさんいるから」です。

むしろ姿勢が悪い状態で激しいスポーツなどをすると、逆に痛みを作ってしまうことにもなりかねません(スポーツは特定の部分ばかりを使うことが多く体のアンバランスを生むことになりかねません)。例えば幼児期に野球やサッカーなど特定のスポーツをさせることで肘を痛めたり、膝痛が出たりしてしまいます。

姿勢を良くする方法=筋トレではないのです。
まずは、「筋力が強くなれば姿勢は良くなる」という思い込みにサヨナラしましょう。

姿勢を良くするポイントは「意識の無意識化」

実は姿勢を良くするためには、筋力ではなく(ある程度の筋力は必要になりますが)日常の中で良い姿勢の意識付けをどれだけできるかがキモになってくるのです。そしてその意識付けを繰り返すことで、「無意識に良い姿勢を取ることができる」ようにしていくことが大切なのです。

では無意識に良い姿勢を学習するためにはどうすれば良いのでしょう。
それは、「意識付けを繰り返す」しかありません。
これは、おはしを使うことで考えると分かりやすいかもしれません。食事でお箸を使うとき、「えーと、お箸はこう持って、こうやって動かして・・・」などと考えなくても、瞬間的にサッと持って、食べ物をパッと持ち上げることができますよね。
これは、子供の頃に繰り返し練習したことが脳のなかで経験として蓄積され、記憶されているからこそ行えることなのです。
この記憶を司っているのが小脳だと言われています。そして一旦小脳に経験として記憶されたことは、何年経っても「体が覚えている」という状態になるのです。
お箸以外にも、スマートフォンを操作する時、自転車に乗る時も同じです。意識しなくてもパッとできますね。しかもお箸を使ったり、自転車にうまく乗るために筋トレなんか必要ないですよね。指先の筋力を強くしたからお箸の使い方が上手になるわけでもないし、足腰の筋力を鍛えれば自転車に乗れる、ということでもありません。
それよりも器用に体を使う、ということが大事になります。

大人が良い姿勢のコツをつかむ→それを子供に伝える

実は姿勢の問題は「こうすれば良くなる」とか「原因は○○!」と決定的な答えを出すことが難しいのです。なぜなら、それぞれの生活習慣が違い、意識付けのレベルや運動習慣なども違うからです。
原因が人それぞれなので、「背筋をしっかり伸ばして!お腹にグッと力を入れて!」というだけでは解決しませんし、綺麗に修正できてもそれは一時的なものでしかありません。
また「やる気があればできる」などという根性論でも絶対に姿勢は良くなりません。
繰り返し書きますが、姿勢を良くしようと思えば、良い姿勢を意識することを繰り返して、それを無意識にできるレベルまでもっていく必要があるのです。

では子供が自分で良い姿勢のコツをつかみ無意識化させるために大人は何ができるでしょう。
それは大人自身が良い姿勢のコツを掴み、それがいかに楽なことかを体感し、子供に伝えるということです。
親が良い姿勢を取ることの大切さをいつも伝えておくことは、子供の意識付けに大きな意味を持ちます。

そのためには大人が良い姿勢についてしっかりとした知識を持つことが大事です。
漠然と「良い姿勢」を意識するのではなく、体のどの部分を使えば背筋が伸びるのか、背中がしっかり伸びた良い姿勢の時にどこの筋肉が働いているのか、などを大人が実感し子供に伝えるのです。
そして子供にそれをマネさせます。どこに力が入っているか、背すじはどうなっているかを言語化させたり、鏡を見るなどすればより効果的でしょう。
日常の中でそれを繰り返し子供に伝え修正させることで、やがて良い姿勢の無意識化が見られるようになります。そして一旦無意識化されてしまえばシメたもの。良い姿勢は子供が大人になっても小脳の中に経験記憶としてインプットされています。

子供の頃に良い姿勢の無意識化を習得させることは、子供が大人になってからにも影響を与えるのです。

ぜひ親子で良い姿勢を考え、語り合いながら実践してみましょう。

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西村 猛(管理人)

西村 猛(管理人)

”触らない”理学療法士(子供の発達、特に座る、立つ、歩くなどの運動発達が専門)。コラムLatte専門家コラムニスト。 姿勢の悪い子供を減らしたい!という思いから、一般の方に向け、子供の姿勢発達や体作りについての情報提供をおこなっている。「分かりやすい解説」が好評で、マスメディアをはじめとする様々な媒体からの取材も積極的に受けている。 ■研究分野:子供の姿勢、幼児の体作り、発達障害児の身体的発達と課題